社会心理学に「インパクト・バイアス」と呼ばれるものがあります。
例えば、何億円もの宝くじが当たった人、
もしくは、完璧と思える配偶者と結婚した人などを、
さぞかし幸福なのだろうと、多くの人が強いバイアスをかけて思う現象です。
逆に、大きな不幸をかかえてしまった人をみて、
「かわいそう」「もう立ち直れないだろう」「さぞかし不幸なのだろう」と勝手に想像することも指します。
しかし、この研究をしているハーバード大学のダン・ギルバート氏によると、
人には心理的免疫システムというものがあり、
不幸な出来事があると、脳がそれを修復しようとして、
幸福感や前向きな感情を生み出しやすくなる状態になるといいます。
ただ、些細な苦痛や苦しみでは働きにくく、
激しい痛みや、大きなトラウマを受けるほどの精神的苦痛ほど、大きく働くといわれています。
しかし、これはポジティブな出来事にも当てはまり、
先ほどの例の、巨額の宝くじが当たるという幸福を手にした人も、
時間の経過とともに、幸福度が元にもどるということでもあります。
ギルバート氏はいいます、
「大切なのは、変化した物だけを見るのではなく、それ以外の、それよりも遥かに大きな世界に目をむけることだ。」
ダニエル・ギルバート「Stumbling on Happiness」